初恋

何となく気が晴れない一日だったが一気にルンルンになる。突然高校の同級生佐藤衛君より電話あり、要件はお互いの近況報告と他の同級生たちの情報交換でした。

彼は富成の郵便局長の息子、そして奥さんが霊山の郵便局長の娘、親同士の政略結婚だった。その奥さん綾子さんが俺にとっては淡い初恋の人、そして偶然にも4~5日前に彼女思い出しながらビデオで「嵐が丘」を観たばかり、衛君と話し終わった後彼女に電話を変わってもらい何年ぶりかにワクワクしながらお話をする。ハッピーだった。

彼女との馴れ初めは、中学3年の時の組替えで同じクラスになり席が隣同士になった時からだ、俺は足が悪いので小さい時から母方の伯父で福島で大成功をしている菅野太重さんの様に洋服屋になれと云われて育って来たので余り勉強には力を入れてこなかった、成績もマアマア中の上止まり、ところが綾子さん村一番のおお金持ちの娘、俺など本や参考書など買ってもらったことが無いのに、彼女は何でも持っている、そして見終わった本や参考書を俺に次から次と回してよこす、俺も競い合うように彼女から借りた参考書で猛勉強する様になった、その結果毎月1回行われた模擬試験でわ何時も彼女と1~2位を争っていた、秋になり先生からの進路指導で楽々合格するから高校に上がれと進められる、親に相談したら自転車に乗れる様になったら高校に上がっても良いと云われ、綾子さんと一緒に高校へ行きたいばかりに今度は自転車の猛練習、何とか乗れる様になり、晴れて高校入試に合格し保原高校に入学する。

通学はお互い自転車、登校する時間を示し合わせ家を出、途中赤坂の峠は下車して自転車を押しながらの語らい、帰りも図書館で待ち合わせをして他の友だちが帰ってしまった後に二人でこれまたお語らいながらの下校、今思い出しても楽しかった。

でも淡い恋はここまで、その後の人生いや青春は最悪、彼女は親の勧めで華やかに嫁入り、俺は洋服屋の丁稚奉公、夜逃げを2回もして親に勘当され、何度自分の境遇を嘆き恨んだことやら、でもあの時の口惜しさ、そして高校を出ていたことがその後の人生で花が咲いた、綾子さん有り難う、そして親に感謝、最高の人生でした。